10月を迎え朝夕は涼しくなり、すっかり秋を感じるようになってきました。
春は山菜、夏は鮎、秋は松茸、冬は野山のぼたん鍋と
四季を通して食を愉しめる京都だからこそ、休む間もなく口福が幸福を呼んでくれます。
今年は雨が多かったせいか、松茸も豊作で、幾分お安く流通していますので
ご家庭でも、すき焼きなどでは松茸の登板もあるのではないでしょうか。
今回は、松茸ネタは横に置いときまして、子持ち鮎を取り上げてみます。
鮎はまたの名を香魚と呼ばれることはご存知でしょうか。
川に生える藻を食べることによって
水質が良い場所だと魚体からスイカの香りがするからです。
その鮎は、主に6~8月は香りを楽しみ、9~10月は
腹に子を持った鮎を賞味する時期となります。
子持ちの鮎は、産卵のために川を下る鮎のことで、別名で「落ち鮎」とも言われ
若鮎とは違った子持ちの独特の食感、身の締まりや甘みに熟成した旨みが加わります。
子持ち鮎の腹に包丁を入れて海塩を振り、いこした炭火でじっくりと焼き上げます。
しっかりと焼きあがったところで素早く串を引き抜き、盛り付けてお客様のもとへ。
「熱々のうちにどうぞ」と、お勧めしたら・・・
どうぞ間髪入れずに召し上がってください。
熱々のタイミングを逃しては、料理人からのメッセージが伝わりませんので
ここはお話の途中でも、ぜひ熱々を~☆
口内で鮎の子がプチプチと踊り、酢橘の酸味と鮎の内臓のほろ苦さが混じり合って
鮎の淡泊な味わいに幅が出ます。
お酒を呑まない(呑めない)方には失礼ですが、この鮎の醍醐味にお酒が相乗すれば
その旨味はきっと、2倍、3倍に膨らみ、口福も至福の境地に至ることでしょう。
※子持ち鮎のご提供は、10月中旬~下旬まで
確保困難になり次第、献立から外れますのでご了承ください。