お客様のご感想(ブログより)
4/10(日)、会社の先輩・OBが作る「京都食べ歩き同好会」に参加した。今回は3人欠席となり、総勢7人でお邪魔した。今回の訪問先は、大原の
「野むら山荘 鳥亭」(京都市左京区大原野村町236)だった。幹事のKさんが、定期購読されている
「月刊 茶の間」に掲載されていたお店である。麻生玲央(れお)が、All About
「野むら山荘 鳥亭」で詳しく取り上げているので、まずはこれを引用しつつ紹介する。 ※前回のこの会は、
「西陣 魚新」だった。
《京都大原にある完全予約制の店「野むら山荘 鳥亭(とりてい)」。元は宿でしたが、今現在は鶏鍋料理を主とした料理を出す料亭となっています。場所が大原だけに、車でしか行くことは出来ませんが、あらかじめお願いしておくと、ご主人が地下鉄国際会館前まで車で迎えに来てくださいます》。私たちは7人だったので、マイクロバスでお迎えいただいた。近鉄大和西大寺駅から地下鉄国際会館駅までは、直通の急行で約1時間。ここから15分ほど、車窓から桜満開の京の春を楽しむ。
5,000坪の庭で《高野川に沿う洛北の鄙びた景色を楽しみながら15分程ドライブして、広く手入れの行き届いた庭の前に到着》《玄関までの長いアプローチを進むと、視界にはいるのが5,000坪という庭の広さに負けない広大なお屋敷。今は亡きご主人の父上が、30年ほど前に凝りに凝って自ら建てられたといいます》。
玄関先では、美人の女将さんが出迎えて下さった。《待合を兼ねた広い玄関ロビーを上がって、まず通されたのは普請道楽の極みとも言える茶室。この茶室がまた凝っていて、300~400年は経っているのではないかと思わせるような、古色蒼然とした仕上がりには驚きを禁じえません》。ほの暗い茶室で、美味しい抹茶と、小ぶりのぼたもち(=おはぎ 自家製)をいただいた。
《極めつけは、修学院にあった豪商の御屋敷から移築したという書院造りの30畳の広間。2方が庭に向かって開け放たれると、比叡山系を借景になんとも言えない開放感が拡がって、これまでに訪れたどの料亭の広間より贅沢な空間に思えました。この広間が4名から利用できるのは嬉しい限りです》。この広間はすごい。難なく30人ほどの大宴会ができるところに、テーブルと椅子を置いて、7人で占領させていただいた。
春の旬菜 胡麻酢あえ幹事のKさんに予約していただいたのが、軍鶏(シャモ)鍋のコース8,500円(税・サ別)。まずは、お品書きの1番目「吉野の梅酒」で乾杯。果肉が入っていたので、これは北岡本店の
「やたがらす 吉野物語 うめ」とみた。最初に出てきた料理は「春の旬菜 胡麻酢あえ」。お品書きによると、ホタルイカ、ツブ貝、アサリ、タケノコ、菜の花、ウルイ(オオバギボウシの若葉)、コゴミ(クサソテツの若芽)、タラの芽、カリフラワー、椎茸などを和えている。ほのかな苦みと胡麻の香ばしさが、とてもいい。
春の土瓶蒸しお次は「春の土瓶蒸し」だ。タケノコ、ワカメ、ハマグリ、木の芽がたっぷり入っている。いいダシが出ていて、これは美味しい。次は「軍鶏刺身」。《近江シャモ(雌)の刺身盛り合わせ! これはもう何の説明もいりませんね。最高クラスの近江シャモ(雌)の刺身が旨くないわけがありません。各部位(胸肉、もも肉、ささみ、心臓、肝、砂ずり)は、鮮度・質ともに素晴らしいの一言。食べる度に、溜息さえ漏れるほどの官能的な肉感と、溢れ拡がる旨味は、刺身だからこそ、堪能できる賜物です》。
朝引き軍鶏の刺身(上から胸肉、もも肉、ささみ、心臓、肝、砂ずり)
《尚、驚いたのは、この刺身には生姜醤油以外にも、「ロシア シベリア産」「ブルターニュ産」「アンデス紅塩」、「栗国粗塩」「宮古島粉塩」「五島灘藻塩」の合計6種類の塩が用意されているという点。まずは塩を試食し、塩の味を覚えるところから始め、続いて各部位に合うであろう塩を選択して食すわけです》。近江シャモは、当日の朝に締めたばかりの「朝引き鶏」だ。麻生玲央が食べたのは雌だったようだが、我々のは雄。脂が乗って柔らかい雌と違い、筋肉質の雄の胸肉やもも肉は、味わいは深いが相当噛み応えがある。「硬いので、食べて」という人がいたので、「あとで鍋に入れればいいでしょう」とアドバイスしておいたが、これは正解だったようだ。
岩魚炙り焼きと鯖熟れ鮓
人気No.1の軍鶏(シャモ)鍋。ゴボウ、ネギ、ミツバなど新鮮野菜もたっぷり
次に「岩魚(イワナ)炙り焼き」と「鯖熟れ鮓(さばなれずし)」が出てきた。囲炉裏で焼いた岩魚は、頭から骨ごといただいた。なれ鮨は、奈良県ではあまりお目にかからないので苦手な人がいたが、私はもちろん美味しくいただいた。ここまでの料理でも結構なボリュームだったが、メインは次の「軍鶏鍋」である。
女将さんが、丁寧に具材を入れて下さった
昆布と鰹節でダシをとった醤油ベースのツユに、たっぷりのシャモ肉と新鮮野菜を放り込む。鶏肉から出た濃厚なうま味と、野菜から出た繊細な甘味が相まって、これはウマい! 恥ずかしながら、「うまい、うまい」を連発しながらパクついた。ゴボウがこんなに鶏肉と合うとは知らなかった。途中でお店の人が「うどん、入れますか?」と聞いてきたので、少し入れてもらうことにした。お品書きには「〆の御雑炊」とあったので、雑炊用に胃袋を空けておかなければならない。
だんだん煮えてきたうどんが来るまで結構時間がかかったが、鶏肉も野菜も、なかなか減らない。2つの鍋の片方は私が鍋奉行を務め、注意深く鶏→野菜→ダシの追加というサイクルを回し続け、ほぼなくなりかけたところで、隣の鍋から大量の鶏肉と野菜をいただき、それを平らげたところでうどんを投入。うーん、これは絶品。シャモの肉から出たうま味がうどんにしみ込んでいる。満腹のはずの我々は、競い合ってうどんをすすった。うどんは別腹だったのだ。
雑炊も取り分けていただいたうどんが尽きたところで鍋は調理場へ戻され、ほどなく、満々と雑炊を蓄えて再登場。これも別腹とみえて、2杯、3杯とお代わりする。最後に「水菓子」(自家製の桜味アイスクリーム)が登場して、お開きとなった。ああ、美味しかった。
こんな美味しい鍋は、いちど自宅でも試そうと思う。大和肉鶏をたくさん買ってきて、結崎ネブカ、宇陀金(うだきん)ごぼう、大和きくな、「新鮮しいたけ岡本」の原木しいたけなどと合わせるのである。鶏と野菜のうま味で味わうため、具材はあまりたくさんの種類は入れない。薬味は粉山椒か七味をほんの少しで。
麻生玲央は、記事をこう締めくくっている。《京の街中からほんの少し足を延ばすだけで、これほど風情のある「京の鄙」を堪能できる隠れ家があるとは! 働き詰めで旅行に行く暇もないと嘆いている御仁にとっては、願ってもない小旅行気分が味わえること間違いなし。まさに京都秘蔵の奥座敷料亭と言えるでしょう》。
完全予約制で、クレジットカードが使えないとのことなので、ご注意を。皆さん、味も雰囲気も抜群の「京都秘蔵の奥座敷」に、ぜひお出ましいただきたい。いつもお世話をいただいているKさん、良いお店にお連れいただき、有難うございました!